遺伝学:一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーが見つかった
Nature Communications
2021年9月29日
一卵性双生児のDNAには、受胎から成人期まで存続する特異的なエピジェネティック・シグネチャーがあることを示唆する論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、一卵性双生児の受胎に関係する生物学的性質を解明する新たな手掛かりとなる。
全ての妊娠の12%は多胎妊娠として始まると推定されているが、多胎出産に至るのは、全妊娠のわずか2%である。こうした状態は、バニシングツイン症候群として知られている。一卵性双生児が発生する原因は、いまだに謎であり、一卵性双生児が家族内で遺伝することはまれなため、この現象はランダムに起こるとする仮説が有力視されてきた。
今回、Jenny van Dongen、Dorret Boomsmaたちは、いくつかの大規模な国際的双生児コホートを対象として、一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーを特定する研究を行った。その結果、全ての一卵性双生児に共通するエピジェネティック・シグネチャーがあり、受胎から成人期まで存続することが明らかになった。また、この著者たちは、このエピジェネティック・シグネチャーを用いれば、双生児でない者が当初は一卵性双生児として受胎していたかどうかを判定できることを実証している。
このエピジェネティック・シグネチャーが一卵性双生児に何らかの生物学的影響を及ぼすかどうかは不明であり、さらなる研究が必要である。
doi:10.1038/s41467-021-25583-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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