エネルギー:屋上太陽光発電による潜在発電能力を世界全体で評価する
Nature Communications
2021年10月6日
屋上太陽光発電技術(屋上PV技術)の潜在発電能力を全球的に評価した結果を報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。
私有建造物、商業用建造物、工業用建造物に使用される太陽光パネルなどの屋上PV技術は、現状で最も短期間で設置可能なエネルギー生成技術であり、2050年までに世界の電力需要の25~49%を充足するようになることが予測されている。しかし、こうした予測にもかかわらず、屋上PV技術による潜在発電能力とそれに関連した費用の全球的評価は、未解決の課題となってきた。
今回、Siddharth Joshiたちは、モデル化の枠組みを新たに構築し、それを用いて、全世界の屋上PV技術による潜在発電能力と関連費用を評価した。今回の研究では、機械学習アルゴリズムを用いて地球上の1億3000万平方キロメートルの地表をマッピングし、20万平方キロメートルの屋上域を特定した。次に、この屋上域の分析が行われ、全球的な屋上PV技術の潜在発電能力が詳細に記述された。Joshiたちは、年間27ペタワット時という全球的潜在発電能力が、メガワット時当たり40~280ドル(約4400~3万800円)の費用で達成でき、アジア、北米とヨーロッパで潜在エネルギー生成能力が最大であることを見いだした。潜在エネルギー生成能力を得るための費用が最も少ないのが、インド(メガワット時当たり66ドル、約7260円)と中国(メガワット時当たり68ドル、約7480円)で、英国と米国は最も費用のかかる国に含まれていた。Joshiたちは、屋上PV技術による潜在発電能力が、2018年に世界の年間総エネルギー消費量を上回ったという考えを示している。しかし、今後の屋上PV技術による潜在発電能力は、生成されたエネルギーの貯蔵のためのソリューションの開発と費用に依存すると予想される。
Joshiたちは、以上の知見が持続可能な開発と気候変動緩和の取り組みにとって重要な意味を有していると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-021-25720-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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