考古学:古代メソアメリカ遺跡の配置がリモートセンシングで明らかに
Nature Human Behaviour
2021年10月26日
2000年の歳月をかけて作られた約500の古代メソアメリカ遺跡の建造物の形状が、リモートセンシング技術によって明らかとなった。この成果について報告する論文が、Nature Human Behaviour に掲載される。
これまでの研究から、オルメカやマヤとして知られるメソアメリカ文明は、紀元前1400年から紀元1000年の間に現在のメキシコとグアテマラの広い地域に広がっていたことが分かっている。こうした都市は、宇宙論的なパターンと関連付けて設計されていたことが知られている。しかし、これまで広範囲の遺跡を対象とした系統的な研究が不足していたため、こうした都市の空間的な配置を評価して、この地域の初期文明をよりよく理解することは難しかった。
今回、猪俣健(いのまた・たけし)たちは、航空レーザーマッピング(ライダー)として知られるリモートセンシング技術を用いて、メキシコ南部の8万4516平方キロメートルをカバーする463か所のメソアメリカの建造物と遺跡の配置を可視化した。ライダーによる解析の結果、うっそうとしたジャングルの中であっても、古代建造物の構造が明らかとなった。得られた知見から、紀元前2000年紀に作られたオルメカ文明の中心地であるサン・ロレンソには、古代メソアメリカの暦に基づく設計上の特徴があることが示唆された。これらは、後の時代の他の遺跡の配置にも見つかったことから、サン・ロレンソがこの地域全体に永続的な影響を及ぼしたことが示唆された。
猪俣たちは、得られた結果に基づいて、建造物と遺跡の配置には5つの異なるタイプがあり、それらは異なる時期に対応する可能性があると示唆している。この仮説を確かめ、こうした建造物の特徴が文化的な信仰や習慣にどのように対応しているかを調べるためには、さらなる研究が必要である。
doi:10.1038/s41562-021-01218-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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