環境:太陽電池パネルの全球インベントリーによる地球上の太陽光発電施設の可視化
Nature
2021年10月28日
全世界に設置されている太陽電池による太陽光発電装置の包括的なインベントリーが作成され、以前のデータセットによる報告件数の5倍以上の施設が特定された。このカタログについて報告する論文が、今週、Nature に掲載される。このカタログは、国連の持続可能な開発目標に沿って太陽エネルギーを提供する取り組みにとって貴重な情報となる可能性がある。
太陽電池による太陽光発電装置の配備に伴う土地利用の変化が環境と経済に与える影響と気候変動の緩和のトレードオフを管理するには、こうした太陽光発電装置に関する詳細な情報が必要となる。しかし、現在利用可能な太陽光発電能力のインベントリーは不十分で、例えば、地域的範囲が限定されていたり、研究コミュニティーに公開されていなかったりする。今回、Lucas Kruitwagenたちは、人工衛星画像と機械学習法を併用して、世界の太陽エネルギー施設の詳細なカタログを作成した。具体的には、Kruitwagenたちは非住宅用発電装置を対象とし、商業規模、工業規模、実用規模の太陽電池による太陽光発電施設に重点を置いている。
Kruitwagenたちは、6万8661施設を特定し、その数は、従来の最良推定値の432%増となった。また、Kruitwagenたちの計算によれば、2018年末時点で、これらの施設の発電能力は、約423ギガワットだった。従来の最良のインベントリーと比較すると、この最新のデータセットには新たに特定された発電施設として、中国の1万8449件、日本の9906件、米国の4525件、インドの2021件、欧州経済領域の1万7918件が含まれている。また、土地被覆評価では、ほとんどの施設が農地に立地し、次いで多かったのが乾燥地、草原であることが判明した。今回の知見は、(再生可能エネルギーシステムの配備による)気候変動の緩和と、生物多様性、生態系の健全性、保全と土地保護、食料生産との間にトレードオフの関係があることを明確に示している。
doi:10.1038/s41586-021-03957-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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