気候変動:中国が2060年までにネットゼロを達成するための課題
Nature Reviews Earth & Environment
2021年12月22日
中国が2060年までにカーボンニュートラルを達成するためには、石炭とその他の化石燃料の使用を段階的に廃止すること、ネガティブ・エミッション技術(負の排出技術)を大規模に展開すること、低炭素開発を促進することが必要なことを指摘するZhu LiuたちのPerspectiveが、Nature Reviews Earth & Environment に掲載される。
現在、中国からの炭素排出量は、世界の排出量の28%を占めている。この排出量を抑制するための主要な政策が、2005年の炭素集約度(電力を1単位生産するために必要なCO2のグラム数)を2020年までに40~45%、2030年までに60~65%削減する目標の達成だ。
この論文には、中国のCO2排出量の状況と2060年までにカーボンニュートラルを達成する計画の進捗状況の評価が示されている。2020年の炭素集約度は、2005年と比較して48.4%低下した。しかし、Liuたちは、2030年以前にCO2排出量の総量のピークを達成し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するためには、新規植林、リサイクル、CO2の回収・有効利用・貯留(CCUS)によってCO2排出量をマイナスにすることを前提として、全ての部門をカバーする本格的なキャップ・アンド・トレード制度を確立すること、建設資材・産業副産物を100%リサイクルすること、2050年までに一次エネルギー消費に占める非化石燃料の割合を1.5℃シナリオで85%、2℃シナリオで70%とする目標を達成すること、残存する化石燃料を使用するボイラーと発電装置のための完全なCCUS戦略の開発の全てを達成する必要があると主張している。
Liuたちは、現在のCO2排出量削減の取り組みは、主に中央政府によるトップダウン政策への対応だと結論付けている。しかし、ボトムアップ型の取り組みを奨励する方策も求められており、例えば、地域ごとの緩和目標の設定、カーボンニュートラルへの公正な移行の促進、コミュニティーの動員などがある。
doi:10.1038/s43017-021-00244-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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