地球科学:ヨーロッパの地震警報システムの有効性評価
Nature Communications
2022年2月9日
ヨーロッパの早期地震警報(EEW)システムの有効性見込みを評価した結果を報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、ヨーロッパ-地中海地域の一部、特にギリシャ、トルコ、イタリアが、EEWの恩恵を受けて、地震の潜在的に有害な影響を軽減できるかもしれないことを示している。
EEWは、センサーネットワークと数理モデルによって構成され、地震をリアルタイムで検知し、振動が始まる前に予想被災地に対して警報を発する。揺れが始まる前に予想被災地に向けて警報を発することができれば、たとえわずか数秒前の警報であっても、被害、事故、死者を減らす貴重な時間を稼げる。地域的なEEWシステムは、現在、米国、メキシコ、日本を含む9か国で運用されている。これに対して、ヨーロッパ内で政府が支援するEEWシステムが運用中の国は、ルーマニアとトルコだけだ。
今回、Gemma Cremenたちは、ヨーロッパ-地中海地域におけるEEWの実現可能性を調査するために、同地域の2377か所のセンサーステーションのデータとEEWのリードタイム(当初のEEW警報から予想被災地で揺れが始まるまでの時間)を分析した。Cremenたちは、状況によっては、予想被災者集団が10秒以上のリードタイムを得られ、主要な予防措置(産業機器のシャットダウン、建物の地上階からの避難など)を実施できるようになるという考えを示している。
Cremenたちは、今回の知見は、特定の条件下で、ヨーロッパ内の特定の地域におけるEEWの潜在的有効性を示していると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-021-27807-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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