生態学:山火事は、場合によっては貯蔵できる炭素を増加させる可能性がある
Nature Geoscience
2022年2月11日
山火事によって放出されるよりも多くの炭素が貯蔵されるかどうかは、植生タイプによって決まる可能性がある。このことを示した数学的モデル化研究について報告する論文が、Nature geoscience に掲載される。しかし、このような複雑な相互関係をより適切に制限するためには、今後の観測が必要である。
山火事は、生態系を燃やし、生命を壊滅させ、大量の二酸化炭素や他の温室効果ガスを大気へ放出する破壊的な過程である。しかし、バイオマスを炭化することによって、土壌中の炭素を、酸化や二酸化炭素として大気へ放出する過程に対して抵抗性を持たせるように変換することができる。
今回、Simon Bowringたちは、土地表層モデルを用いて、1901~2010年の地球の炭素循環に対する山火事の全球的な影響を評価した。観測が不足していたため、Bowringたちは多くの数学的仮定を用いて、燃焼の過程によって毎年およそ0~89 テラグラム (89×10^12グラム)の炭素を数千年間、地中に保持できたという見積もりを裏付けている。しかし、山火事の影響は植生によって大きく変化する。Bowringたちのモデルによれば、燃えた草原は炭素の貯蔵場所として大きな割合を占めるが、森林火災は炭素の大気への放出源となる。
Bowringたちは、全球炭素循環に対する山火事の真の役割を明らかにするためには、山火事によって変換された、土壌に貯蔵できる炭素の長期的な安定性を理解するとともに、その量をより正確に定量化するための努力が必要であると強調している。
doi:10.1038/s41561-021-00892-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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