Research Press Release

動物行動学:初めて飼う犬は反復行動を示すことが多い

Scientific Reports

2022年3月25日

尾追い行動などの反復行動は、初めての飼い犬、大家族と暮らす犬、1日の運動時間が1時間未満の犬に多く見られることが、フィンランドで実施された犬の飼い主を対象とした調査で明らかになった。このことを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。

これまでの研究から、犬の異常な反復行動は、犬と飼い主の関係を損ない、犬の幸福感を低下させる可能性があることが判明しているが、反復行動と関連する要因は分かっていない。

今回、Hannes Lohiたちは、2015年2月~2018年9月に22品種4436頭の犬の飼い主を調査した。飼い主たちは、自身の飼い犬が反復行動(尾追い行動、自分の影や鏡に映った自分の姿に飛び付く行動、物を舐める行動、歩き回る行動、じっと見る行動、水入れのそばにたたずむ行動、自咬症)をどれほど頻繁に示すかを回答した。

その結果、1315頭(30%)の犬が反復行動を示し、この行動を示すことが犬の家庭環境と生活様式に関連していることが分かった。反復行動を示す確率は、初めての飼い犬の方が、2頭目以降の犬よりも58%高く、1人の飼い主と同居していた犬の方が、3人以上の家族と同居していた犬より33%低く、別の犬と同居していなかった犬の方が、別の犬と同居していた犬より64%高く、1日の運動時間が1時間未満の犬の方が、1~2時間の犬より53%高かった。

さらに、反復行動は、ジャーマン・シェパード・ドッグ、チャイニーズ・クレステッド・ドッグ、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークで多く見られ、スムース・コリー、ミニチュア・シュナウザー、ラゴット・ロマニョーロで最も少なかった。2歳未満と8歳超の犬は反復行動を示す確率が高く、去勢されていない犬の方が、去勢された犬よりも反復行動を示す確率が29%低かった。また、多動的で攻撃的な傾向が強く、注意散漫になりやすいと飼い主が報告した犬の方が、反復行動を示す確率が高かった。

今回の知見から、犬の反復行動は複雑で、一定範囲の環境要因、生活様式要因、遺伝的要因に関連することが示唆されている。Lohiたちは、これらの要因の解明を進めることが、犬の福祉を向上させる上で役立つかもしれないという考えを示している。

doi:10.1038/s41598-022-07443-6

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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