Research Press Release
変異シャペロンはよいシャペロン
Nature Medicine
2011年9月26日
腫瘍の進行を抑え、治療に対する反応性を改善する新しい変異型のシャペロンタンパク質の報告が寄せられている。がんの治療法にしようとシャペロンの阻害化合物の研究が行われているが、今回の発見は天然に存在する阻害剤と言える。
マイクロサテライト不安定性(MSI)は、遺伝子変異の蓄積につながる遺伝的状態のことだが、予後の良好なある種の大腸がんの特徴でもある。
A Duvalたちは、ゲノムレベルで不安定なMSIから生じた新しい遺伝的変異によって、短い切断型シャペロンが生じることを発見した。シャペロンは、他のタンパク質の構造の安定性維持に重要な役割を果たす。正常なシャペロンは、がん細胞に形の整った構成成分を供給することによって心ならずもがん細胞の増殖を助けてしまうが、欠陥シャペロンを持つMSI腫瘍は、それほど増殖能が高くなく、治療にもよく反応する。
doi:10.1038/nm.2457
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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