加齢:中国の80歳代の人々のBMIの最適値を再考する
Nature Aging
2022年4月26日
中国で2万7000人以上が参加した観察研究から、80歳以上の人々において、過体重や軽度の肥満が死亡率低下と関連していることを明らかにした論文が、Nature Aging に掲載される。この知見は、80歳以上の人々を対象とした最適体重に関する公衆衛生上の勧告を上方修正する必要がある可能性を示唆している。ただし、異なる地域の人々を対象に加えて、さらなる研究を実施する必要がある。
加齢に伴うボディーマス指標(BMI)の変化が健康に及ぼす影響は、十分に解明されていない。65歳以上の成人の場合、BMIが過体重から軽度の肥満の範囲内にある人は、それより痩せた人よりも健康転帰が良好で、死亡率が低い傾向にあるという「肥満パラドックス」を裏付ける証拠がある程度見つかっている。しかし、BMIの最適値に関する勧告は、高齢者、特に80歳以上の超高齢者を十分に代表していない傾向がある一般集団の大規模疫学研究に基づいて確定されている。
今回、Xiaoming Shiたちは、高齢者におけるBMIと健康転帰と死亡率の関係についての理解を深めるため、中国で実施された観察研究の一環として、80歳以上の参加者2万7026人(平均年齢92.7歳)を最長20年間追跡調査して収集したデータを分析した。Shiたちは、この年齢層の人々の死亡のリスク(特に非心血管疾患による死亡リスク)がBMI値の増加とともに低下し、BMIの最適値が過体重から軽度の肥満の範囲にあることを明らかにした。同様の関係が、胴囲(腹部脂肪の蓄積の代理指標)についても観察された。
Shiたちは、今回の知見が、中国の超高齢者における肥満パラドックスの存在を裏付けており、BMIの最適値に関する公衆衛生上の勧告が超高齢者の集団にとって不適切なものとなっている可能性を示唆していると結論付けている。
doi:10.1038/s43587-022-00201-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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