動物健康学:英国のイヌの余命推定でジャック・ラッセル・テリアが最も長生きだと示唆された
Scientific Reports
2022年4月29日
ジャック・ラッセル・テリアとヨークシャー・テリアが、英国の犬種の中で、余命が最も長いことが最新の研究で明らかになったと報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。一方、フレンチ・ブルドッグやパグなどの顔の平たい犬種(短頭種)の中に、余命が最も短い犬種が含まれていることも判明した。
今回、Kendy Tzu-yun Teng、Dan O’Neillたちは、VetCompassデータベースを用いて、英国全土の動物病院によって登録された2016~2020年のイヌの死亡記録3万563件を分析し、英国ケネルクラブが認定する18犬種と雑種群に分類した。そして著者たちは、イヌの一生を通じて出生時(0歳)から1歳刻みで余命を算出した生命表を作成した。
出生時の平均余命が最も長かったのがジャック・ラッセル・テリア(12.72歳)で、ヨークシャー・テリア(12.54歳)、ボーダー・コリー(12.10歳)、スプリンガー・スパニエル(11.92歳)がそれに続いた。一方、出生時の平均余命が最も短かったのがフレンチ・ブルドッグ(4.53歳)で、余命の短い他の短頭種、例えばイングリッシュ・ブルドッグ(7.39歳)やパグ(7.65歳)よりも約3歳短かった。著者たちは、このように短い余命の原因は、これらの短頭種に生じることが知られている高い健康リスクにあるかもしれないという考えを示している。
犬種全体で見ると、出生時平均余命は、雄イヌで11.1歳と推定され、雌イヌより4か月短かった。去勢されたイヌの平均余命(雌11.98歳、雄11.49歳)は、去勢されなかったイヌ(雌10.50歳、雄10.58歳)よりも長かった。著者たちは、去勢が利益をもたらす可能性とそれに伴う余命の延長について考察し、去勢が飼い主の責任感の強さとイヌを大切に扱っていることを反映しているかについて論じている。
著者たちは、今回の研究によって、ヒトの場合と同様に、さまざまな年齢のイヌの余命を把握できるようになり、英国のさまざまな犬種の余命推定が改善される可能性があると結論付けている。この他にも、イヌの保護施設で新しい飼い主を世話する際にイヌの余命を正確に推定できるようになるなどの実益があるかもしれない。
doi:10.1038/s41598-022-10341-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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