考古学:古代アマゾン文明の建造物を見つけ出す
Nature
2022年5月26日
アマゾン川流域の南西部に西暦500~1400年ごろに存在したとされるカサラベ文化の集落の考古学的遺跡が、新たに11か所見つかった。この知見を報告する論文が、Natureに掲載される。今回の成果は、これまでアマゾン川流域地帯では知られていなかった熱帯での低密度都市生活様式の1つのタイプが発見されたことを意味し、スペイン人が侵略する以前のアマゾン川流域の西部の人口密度が、これまで考えられていたほど低くなかったことを示唆している。
アマゾン川流域で西暦500~1400年ごろに繁栄していたカサラベ文化に関する我々の理解は、数か所の孤立した集落遺跡から得られた証拠に限られている。これは、密な植生のために、熱帯林において遺跡の地図を作製することが難しくなっていることによる。そのため、主要な遺跡における公共祭祀建造物とカサラベの集落の地域的構成に関する我々の知識は限られている。
今回、Heiko Prümersたちは、カサラベ文化圏に属するボリビアのアマゾン川流域のリャノス・デ・モホスの4500平方キロメートルの地域内で、6つの区域を調べた。Prümersたちは、LiDAR(光検出・測距)と呼ばれる技術を用いて、密集した植生をバーチャルに「こすり落とし」て、林冠の下にある土地と考古学的遺跡を可視化した。その結果、2か所の大型集落(コトカ、ランディヴァル)の遺跡と、24か所のそれより小規模な集落の遺跡が発見された。このうち、以前から存在が知られていたのは15か所だけだった。Prümersたちは、盛り土による基礎平場のサイズ、その上に配置された建造物、用水路・貯水池システムなどの要素に基づいて、これらの遺跡を4階層に分類した。建造物には、U字形の構造物、盛り土による長方形の高台、最大22 メートルの高さの円錐ピラミッドが含まれていた。
今回の知見は、スペイン人が侵略する以前のアマゾン川流域の歴史に関する現在の学説に異を唱え、アマゾン川流域における熱帯の古代文明に関する我々の知識を深めるものである。
doi:10.1038/s41586-022-04780-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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