環境:気候・土地・水に対する米国の学校給食の影響を評価する
Communications Earth & Environment
2022年6月24日
米国の学校給食が地球環境に及ぼす影響の40%は、環境破壊力の最も大きな給食のうちのわずか20%の部分によることが明らかになった。今回の研究では、肉の量を減らして全粒穀物を増やすことで、米国の全国学校給食計画が環境に及ぼす影響を減らせることが判明した。この知見は、学校給食に関連する政策変更を優先すべきことを示唆している。今回の研究について報告する論文がCommunications Earth & Environment に掲載される。
米国の全国学校給食計画は、2019年に米国の学童の40%近くに毎日昼食を提供しており、年間予算は140億ドル(約1兆8000億円)だ。この給食プログラムは、かなりの額の予算を得て、相当に広域で運用されているため、米国の多くの子どもや青少年の食生活に影響を与えており、食料システムの環境影響への取り組みに役立つかもしれない。このプログラムは、需要を生み出して物価を安定させることでも知られており、米国の農業政策と密接に結びついている。
今回、Alexandra Sternたちは、2014~2015年に全国学校給食計画によって米国内の1207校で提供された220万食の昼食の環境影響を評価した。評価された環境影響としては、地球温暖化指数、土地利用、水消費量、水質などがあった。提供された昼食の例としては、ピーナッツバターとゼリーのサンドイッチ、チキンファフィータ、サラダ付きパスタなどである。Sternたちは、環境影響の小さい昼食には乳製品、全粒穀物、魚介類、ナッツ類、種子類が多く含まれているのに対し、環境影響の大きい昼食には果物やフルーツジュース、肉、でんぷん質野菜が多く含まれていることを明らかにした。肉製品は、全ての環境影響カテゴリーについて、環境影響全体の28~67%に寄与していることが分かった。
Sternたちは、保全策を取りつつ生産された食材(穀物、ナッツ類、種子類など)を給食プログラムに利用すれば、潜在的な市場が生まれ、栄養や環境、経済的成果にとっての利益をもたらすかもしれないという考えを示している。また、給食のメニューの変更が好意的に受け入れられるようにするため、金銭的インセンティブと教育プログラム(例えば、園芸、料理、食料システム、マーケティングキャンペーン)を導入することも提案されている。
doi:10.1038/s43247-022-00452-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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