天文学:水素とヘリウムに富む系外惑星は数十億年にわたって生命が存在可能な条件をもたらす可能性がある
Nature Astronomy
2022年6月28日
水素ガスとヘリウムガスを主成分とする大気を持つ岩石質の系外惑星は、数十億年にわたる表面の温和な環境と液体の水を維持できることが、Nature Astronomy に発表されるモデル化研究で示された。今回の発見は、地球とは全く異なる大気を持つ惑星でも、その歴史の長期間にわたって生命が存在できる可能性があることを示唆している。
水素ガスとヘリウムガスは、若い星の周辺に存在する物質からなる惑星形成円盤で容易に得られるため、全ての惑星はこれらの2種類の元素を主成分とする大気を蓄積した。我々の太陽系では、岩石質惑星はこの原始的な大気を失い、地球の酸素や窒素のような重い元素で支配的となった。しかし、星からある程度離れた所に位置する巨大な岩石質の系外惑星は、水素ガスとヘリウムガスを主成分とする大気を保持している可能性がある。
Marit Mol Lousたちは、そのような惑星の進化を調べた。研究チームは数値モデルを用いて、水素とヘリウムに富む系外惑星がその表面に液体の水を保持できる期間を予測した。著者たちは、惑星の質量と星からの距離に依存するが、大気が十分に厚い(地球の大気厚の100倍から1000倍)という条件で、これらの惑星は80億年もの間にわたって温和な表面環境を保つことができると明らかにした。
著者たちは、これらの惑星が形成される可能性や、液体の水がどのようにしてそこに到達するかなど、残された多くの疑問を解決するために今後の研究が必要であるものの、これらの結果は、生命が存在可能な条件が地球上の条件とは非常に異なる可能性を示唆すると主張している。従って、著者たちは、他の惑星における生命の存在可能性を調査する場合、常に広い視野を持つ必要があると述べている。
doi:10.1038/s41550-022-01699-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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