惑星科学:最古の火星隕石の1つについて起源が解明された
Nature Communications
2022年7月13日
これまでに年代測定されたものの中で最古の火星の火成岩物質を含有する、地球上で発見された最古の火星隕石の1つについて、起源が明らかになったことを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。
地球の形成を解明する手掛かりは、火星などの他の地球型惑星から得られる可能性がある。しかし、今のところ、火星の初期状態が記録されたと考えられる試料で入手可能なものは、北西アフリカ(NWA)7034隕石と、それと対をなす石に限られる。NWA 7034隕石には、これまでに年代測定されたものの中で最古の(およそ45億年前の)火星由来の火成岩物質が含まれている。しかし、この隕石の起源は解明されていない。
今回、Anthony Lagainたちの研究チームは、クレーター検出アルゴリズムを用いて検出された9000万個以上の衝突クレーターのサイズ分布と空間分布を用いて、この隕石が火星から放出された可能性が最も高い場所を特定しようとした。その結果、NWA 7034の最古の破片は、火星の南半球にあるキンメリア–シレヌム大陸の北東に位置するホジルト・クレーター(40キロメートルのクレーター)が約15億年前に形成した際の放出物の堆積層に含まれており、500万~1000万年前にカラサ・クレーターが衝突によって生じた際に、この二度目の衝突によって火星から放出されたことが明らかになった。
Lagainたちは、この火星の領域が、火星の歴史の最初の数千万年のユニークな記録になっており、今後の軌道解析と探査において、この領域を目標とすることを提案している。
doi:10.1038/s41467-022-31444-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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