環境:海上の暴風雨で落雷が少ないのは海塩粒子のせいかもしれない
Nature Communications
2022年8月3日
海の波しぶきに含まれる塩が、雷雨時の落雷の活動を低下させている可能性があることを示唆した論文が、Nature Communications に掲載される。この研究知見は、熱帯の海洋での落雷回数が陸上よりも少ない理由を説明する上で役立つかもしれない。
陸上での雷雨活動は、熱力学とエアロゾル–雲-降水の相互作用の効果として生じる。しかし、熱帯海洋での落雷活動が、陸上での落雷活動と比べて有意に少ない理由は分かっていない。
今回、Daniel Rosenfeldたちは、海洋での落雷の頻度が低い理由を模索するため、2013~2017年のアフリカ大陸と隣接する海洋(西経50度~東経50度、南緯20度~北緯20度)での気象、エアロゾルと落雷活動に関するデータを解析した。その結果、粗大な海洋エアロゾル(例えば、塩)によって落雷の頻度が低下することが判明した。一方、微細なエアロゾルは、陸上での場合と同じように雲の帯電を促進することが分かったが、海の波しぶきに含まれる粗大な塩粒子が雲内部の対流を弱めた。また、この粗大な塩粒子は、暖かい雨の降水を促進することが分かった。この現象は、雲水量が増加して、雲の帯電に必要な過冷却に必要なレベルに達する前に起こっており、海上において熱の上方移動を減少させる効果があり、大気循環を引き起こすために必要な降水量に影響を及ぼす。
Rosenfeldたちは、今回の研究で得られた知見によって、落雷が陸上と海上で不均等に分布していることの理由と気候に及ぼす影響についての理解が深まるという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-022-31714-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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