材料:エレクトロルミネッセンス素子のマルチマテリアル3Dプリント
Nature Communications
2022年8月24日
ソフトロボットに組み込むことができ、フレキシブルで伸縮自在な発光素子を構築するための3Dプリンティング戦略について報告するJi Liuたちの論文が、Nature Communications に掲載される。今回の研究では、背景に合わせて色を変えることができるソフトロボットを使った実証が行われ、次世代のスマートディスプレイ、ウエアラブル電子機器や人工カモフラージュの開発に役立つ可能性がある。
フレキシブルな電子機器を製造するための従来の方法は、一連の工程と高価なツールを必要とするため、ラピッドプロトタイピングとカスタマイズへの応用が進まない。したがって、技術的用途と光学的用途におけるフレキシブルなエレクトロルミネッセンス素子の需要の増加に対応するための簡易で汎用性のある製造戦略が必要とされる。
この論文には、マルチマテリアル3Dプリンティングによってフレキシブルなエレクトロルミネッセンス素子を製造する方法が示されている。Liuたちは、3Dプリントに適したイオン伝導性エレクトロルミネッセンス絶縁インクの配合を考案し、それを使ってフレキシブルで伸縮自在なエレクトロルミネッセンス素子を簡単にオンデマンドで作製した。Liuたちは、この方法を用いて、青色光を発するフレキシブルなリストバンドの作製を実証し、このデバイスをカメレオンのように背景に合わせて表面色を素早く変えるソフトロボットと統合した。このデバイスは、いろいろな機械的変形モード(曲げ、ねじれ、伸びなど)において安定なエレクトロルミネッセンス性を示した。
Liuたちは、この方法がエレクトロルミネッセンス素子の作製においてカスタマイズ性という利点を生み出し、フレキシブルな電子機器とカモフラージュシステムのための特注デバイスの開発を可能にするかもしれないという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-022-32126-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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