Research Press Release
地球温暖化防止のための目標の達成可能性を検証する
Nature Climate Change
2011年10月24日
地球の気温上昇を摂氏2度未満に抑えるという国際的に合意された目標は、現状では達成可能だが、手遅れになりかけている可能性もあるとする分析結果が明らかになった。
2009年にコペンハーゲンで開かれた国連気候変動会議で、参加各国は、地球の平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから摂氏2度未満に抑えるべき点で合意した。この目標を達成するうえで、政策決定者は、気温上昇を摂氏2度の範囲内に抑えるために必要な地球上の二酸化炭素排出量の削減規模、それに、そのような削減を行うことが技術的にも経済的にも可能なのかどうかを知っておく必要がある。
今回、J Rogeljたちは、こうした要因について、これまでで最も包括的な評価を行った。これは、国連環境計画による過去の研究結果を確認し、一歩進めるものだ。今回の研究では、文献中の「実現可能な」排出シナリオを再度分析し、こうしたシナリオで温暖化を「安全な」レベルに抑えられるのかどうかを調べた。その結果、「高い」(66%超)確率で気温上昇を摂氏2度以内に抑えるためには地球上の二酸化炭素排出量のピークを2020年より前倒しで達成して、2020年には二酸化炭素換算で約44ギガトンまで減らし、その後も削減を続けることが必要となる可能性が非常に高いことがわかった。この経路の達成は、非常に大きな困難を伴うと考えられる。
doi:10.1038/nclimate1258
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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