惑星科学:火星探査機インサイトが記録した隕石の衝突
Nature Geoscience
2022年9月20日
NASAの探査機インサイトにより、火星に衝突した隕石により生成された地震波が検出され、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターによって、新しく形成された衝突クレーターと関連付けられたという報告がNature Geoscience に掲載される。今回の研究は、原因となったクレーターと関連付けられた他の惑星における衝突による地震音響波を初めて検出したものである。
隕石は高速で大気に突入して表面に衝突すると、衝撃波を生成する。この波は減衰して地震波や音響波となり、地震計によって検出できる。そのような波は、地球大気では、空中破裂(衝突体が表面に達する前に分裂する)事象として記録され、地球上に単一の小さな衝突クレーターを形成する。しかしながら、他の惑星で新しいクレーターの生成を地球物理学的に観測した例は限られている。
Raphael Garciaたちは今回、探査機インサイトの地震計データを解析し、4つの事象から地震波と音響波を特定した。著者たちは、これらの波の到着時を用いて4つの事象それぞれの位置を計算し、マーズ・リコネッサンス・オービターの画像を請求してそれらのうち3つの衝突地点を確定した(4つ目は画像により以前に検出されていた衝突に関連した地震であった)。原因となったクレーターが分かったことで、衝突による波を用いてクレーター形成過程と火星大気と地殻の性質について情報を得ることができるようになる。
著者たちは、今回の発見は他の惑星の衝突過程を研究することに対する惑星地震学の価値を立証していると結論付けている。
doi:10.1038/s41561-022-01014-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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