地球科学:深部からのダイヤモンドから水に富んだ環境が明らかに
Nature Geoscience
2022年9月27日
地球表面から660キロメートルの深さで生成された希少な宝石ダイヤモンドの内部に捕獲された鉱物包有物の分析したところ、地球の下部マントルに大きく水が飽和した環境が広がっていることが明らかになった。このことを報告する論文が、Nature Geoscience に掲載される。この知見は、地球深部の水循環に対する理解を深める可能性がある。
地球はその表面の70%以上が海で覆われているため、水惑星と呼ばれることがある。この海の水は、水和した鉱物によって地球深部へと輸送され、火山活動によって地表に戻ることになり、この過程は深部水循環として知られている。深部の水は火山噴火の爆発性、地震活動の性質、プレートテクトニクスに影響を及ぼし得る。しかしながら、地球上で掘削された最深の掘削孔は地球表面下の12キロメートルをわずかに超す程度であり、地球深部の水循環の試料を得て研究を行うことは困難であった。
Tingting GuとFabrizio Nestolaたちは今回、ボツワナのカロウェ鉱山で得られた、およそ660キロメートルの深さから地表へと運ばれながら地球の下部マントルの試料を捕捉・保持してきた宝石品質のダイヤモンドを調べた。著者たちは、ダイヤモンド中にリングウッダイトなどの水和鉱物相の証拠を見いだした。これは、このダイヤモンドが、地球マントルの水和した領域で生成されたこと示している。
著者たちは、このダイヤモンドは地球深部660キロメートルまで、そしてそれを以深にも鉱物と結合した水が存在することを確証するもので、この領域が広く水和していることを示唆していると結論付けている。
doi:10.1038/s41561-022-01024-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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