生物学:古代スコットランドの爬虫類の新しい分類
Nature
2022年10月6日
スコットランドで三畳紀(約2億3000万年前)の地層から出土した謎の化石爬虫類を再評価する研究が行われ、それが空飛ぶ翼竜類の近縁種であることが明らかになった。今回の研究は、初めて空を飛んだ脊椎動物に最も近縁な種の1つに解明の光を当てている。この研究を報告する論文が、今週、Nature に掲載される。
翼竜類は、動力飛行した最初の脊椎動物だったが、その進化史は明らかになっていない。Scleromochlus taylori(スクレロモクルス)は、大きな頭部、短い首、細い体、細長い脚と長い尾を持つ小型(体長20 cm未満)の爬虫類で、その遺骸がスコットランドの上部三畳紀のロジーマス砂岩層で発見されたのは今から1世紀以上前のことだった。遺骸の保存状態が悪いため、スクレロモクルスが属する分類群については、研究者によってさまざまな見解が示されていた。今回、Davide Foffaたちは、マイクロCTスキャンを用いて、スクレロモクルスを非常に詳細に復元した。その結果、新たな解剖学的詳細が明らかになり、スクレロモクルスが翼竜様類に属することが示唆された。翼竜様類というクレードには、翼竜類やラゲルペトン科(小型爬虫類の分類群の1つ)が含まれている。スクレロモクルスは、翼竜よりもラゲルペトンに似ており、最も早く分岐したラゲルペトン科種の1つとされた。初めて空を飛んだ爬虫類は、つま先で立ち、非常に小さく、おそらく地上を走っていたスクレロモクルスに似た二足歩行動物から進化した可能性がある。
doi:10.1038/s41586-022-05284-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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