進化:カメの耳は内耳の部分が大きいかもしれない
Nature Communications
2022年10月12日
カメの内耳の形状を分析し、内耳の形状と運動とのつながりを分析した結果を報告する論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、脊椎動物の進化を理解するうえで役立つ可能性がある。
内耳(骨迷路)は、動きや向きを感知する器官で、その形状やサイズを使って絶滅動物の敏捷性が推測されてきた。カメは、2億3000万年以上にわたって進化しており、現生種と絶滅種の両方が、さまざまな運動行動を示し、生態学的適応を遂げたことが知られているが、カメの内耳の骨迷路の進化については、ほとんど分かっていない。
今回、Serjoscha Eversたちは、さまざまな運動行動を示す163種のカメの標本を調べた。この標本には、スッポン、テラピン、アカウミガメなど、90種の現生種と53種の絶滅種が含まれており、これらのカメの運動行動には、陸上、淡水、海洋の生息地で移動するための穴掘り、地上歩行、水中歩行、水泳が含まれる。Eversたちは、カメが頭の大きさに比べて大きな内耳を持つことを明らかにし、これが、水中生息域への適応の過程で進化した可能性があるという考えを示している。また、Eversたちは、カメの骨迷路のサイズが、他の脊椎動物と比べて大きいことを示し、内耳のサイズが、これまで考えられていたほど敏捷性と強く関連しておらず、むしろ視力とつながりがある可能性を提唱している。
Eversたちは、骨迷路の形状とサイズには以前考えられていたよりも高い多様性があり、骨迷路の進化を探究するためには、これまで十分に研究されていない四足類と魚類に関するさらなる研究が必要であることが今回の研究結果によって示唆されている、と結論付けている。
doi:10.1038/s41467-022-33091-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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