地球科学:大きな野火の後に起きる砂塵
Nature Geoscience
2022年10月18日
2003〜2020年に起きた大きな野火のおよそ半数は、ダストイベント(強い風が、乾燥した土壌から塵と砂を巻き上げる嵐)の後に起きていることが、15万件以上の野火を分析した結果明らかになった。このことを報告する論文がNature Geoscience に掲載される。
野火は、植生を破壊し、むき出しとなった地表は、塵の放出源となり、特に風の浸食を受けやすくなる。火事の後の地表からの塵の放出は、北米では報告されているが、火事の後の塵の頻度、ホットスポット、その厳しさと継続期間の傾向などの問題に答える全球的な知見は得られていなかった。これらの疑問に答えることは、砂塵に関連する野火の社会的影響を軽減する現実的手段の開発に役立つ可能性がある。
今回、Yan YuとPaul Ginoxは、2003〜2020年の活発な火事、エアロゾル存在度と特性、植被、土壌水分に対する全球の人工衛星観測を用いて、火事の後のダストイベントの知見を提供した。著者らは、この期間に起きた大きな野火(連続した7日間におよそ10キロメートルの0.1°ピクセル内で起きた20件以上の活発な火事として定義される)の約90%は植被の著しい減少に関連しており、それらの50%以上はその後の60日間にダストイベントが起きていたことを発見した。これらの砂塵はサバンナで起きることがあり、火事後のダストイベントのおよそ半数を占めていた。このような事象は、主に野火の時間的空間的広がりや植被への影響を含む厳しさによって数日から数週間にわたり続くことがある。火事の前の干ばつの条件により、火事後のダストイベント発生と強度が増大することが分かった。調査期間を通して、気候変動によって地域的な野火と干ばつの条件が強化された結果として、火事後のダストイベントの継続期間は顕著に増大していた。
著者たちは、将来の野火、および野火に関連するダストイベントは、気候変動の結果としてさらに極端なものになる可能性があると予測している。
doi:10.1038/s41561-022-01046-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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