天文学:高密度物質からなるより小さな質量の中性子星
Nature Astronomy
2022年10月25日
半径が約10キロメートルで質量が太陽のわずか77%という、小さく極端に軽い中性子星についてNature Astronomy に掲載される論文で報告される。理論的に予測されるよりも軽いこの星は、低温の高密度物質が宇宙に存在する状況について我々の知識を拡大する可能性がある。
典型的な中性子星の質量は太陽の1.4倍で、半径はわずか数十キロメートルと、宇宙で最も高密度な天体の1つである。しかし、中性子星の質量は、太陽質量の1.17〜2.35倍と、幅があることが知られている。
今回、Victor Doroshenkoたちは、HESS J1731-347として知られる超新星残骸に発見された中性子星の質量を計算した。この天体の質量は、太陽質量の0.77倍と、予測される質量よりも小さく、現在の恒星物理学の理解に疑問を投げ掛ける。著者たちは、この天体が通常の中性子星ではなく、よりエキゾチックで我々がまだ発見していない「ストレンジ星」として知られる、クォーク材料からなる仮説上の星である可能性があると主張している。
中性子星は、時に大量のX線を放射し、超新星残骸の中心部に位置することが多いなど、比較的容易に特定できるため、これまで非常によく研究されてきた。しかし、同じ場所で可視光で明るい星(HESS J1731-347)が発見されたことから、著者たちは2つの星までの距離を決定して、これによって中性子星の質量とその天体の物質密度を計算することができた。
doi:10.1038/s41550-022-01800-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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