進化学:相当に多様だった鳥類の骨格の進化
Nature
2022年10月27日
200種以上の鳥類の骨格構造の解析が行われ、鳥類の進化が相当に多様であることが明らかになった。特に水鳥と陸鳥の進化様式には顕著な相違点が見つかり、環境が動物の特徴を形作る上で重要な役割を果たしていることが浮き彫りになった。この結果について報告する論文が、今週、Nature に掲載される。
鳥類は、生態学的に多様で、構造的にも複雑であり、この多様性の少なくとも一部は6600万年前の白亜紀末の大量絶滅の結果だと推定されている。この大量絶滅の後に起こった生態学的多様化は、水鳥と陸鳥という明確に異なる鳥類分類群を生み出したと考えられている。進化の解明は、新しい方法や技術によって進歩してきたが、最も重要と考えられる数種類の形質や体の部位だけに注目した研究が多い。
今回、Guillermo NavalónとRoger Bensonたちは、鳥類の骨格全体(体の各部位の相対比、繋がった骨の複合形状、個々の骨の形状変化など)にわたって進化のパターンを定量化した。今回の研究で、現生鳥類全科にわたる228種の骨格要素(13種)を解析し、頭部、翼、脚の構成要素を調べた。その結果、予想に反して、白亜紀末の大量絶滅は、研究対象の鳥類分類群に属する現生鳥類の多様性を説明する上で小さな役割しか果たしていないことが判明した。むしろ、その後の進化の節目の方が重要な役割を果たした可能性のあることが明らかになった。さらに、水鳥と陸鳥では進化様式に著しい違いが見られることから、これらの鳥類の環境が進化経路を決定する上で重要であったことが示唆されている。例えば、陸鳥は、移動運動のための特別な適応を発達させ、それが脚に反映しているのに対して、水鳥(例えばペンギン)の移動運動のための適応は進化的多様性が高かった。
今回の研究では、マクロ進化のパターンを観察するため、骨格の差異について、非常に詳細な3D定量化が行われた。Navalónたちは、体のそれぞれの部位の進化パターンが多岐にわたる可能性があるため、数々の体の特徴にわたって研究を行うことの有益性を示した。今回の研究で得られた知見は、大量絶滅が進化経路に与えた影響に関する議論だけでなく、多様な陸上環境と水環境が鳥類の進化において果たした役割に関する議論も見直している。
doi:10.1038/s41586-022-05372-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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