公衆衛生:公衆衛生上の脅威であるCOVID-19を終わらせるには
Nature
2022年11月4日
公衆衛生上の脅威になっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を終息させる方法に関する提言をまとめた論文が、今週、Natureに掲載される。この論文は、112の国と地域を代表する研究者、臨床医と政策アドバイザー(合計386人)からなる多様性に富んだ委員会によるもので、全世界で執拗に続くCOVID-19の脅威を終わらせるために取るべき社会行動と健康のための行動が概説されている。この委員会は、各国が社会全体、政府全体で取り組む手法を採用することやワクチンの平等な分配を確保する行動を求めている。
2022年9月現在、世界全体でCOVID-19の症例が6億2000万件以上、COVID-19を原因とする死亡が650万件以上報告されている。感染と疾患の原因と経過に関する研究は、予防対策、治療法やワクチン接種の改善とともに、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)への対応を向上させた。しかし、具体的な対応は、国ごとに異なっており、誤った情報、ワクチンや治療方法の分配の不平等、一貫性に欠ける国際協調などの要因が障害になっている。
こうした障害に取り組むため、Jeffrey Lazarusたちは、過去3年間のさまざまなパンデミック対応策の教訓を評価した上で、厳密な合意形成方法を用いて、公衆衛生上の脅威であるCOVID-19を終息させる上で最も効果的な対応策について合意を得た。この集学的な国際委員会は、さまざまな文化と意見を持つさまざまな分野の専門家(386人)によって構成され、41点の合意声明と57点の勧告を作成した。それらは、6つの主要カテゴリー(情報伝達、医療制度、ワクチン接種、予防、治療と介護、パンデミックの不平等)に分類されている。例えば、ワクチンはCOVID-19に立ち向かう有効な手段だが、それだけで公衆衛生上の脅威としてのCOVID-19を終わらせることはできないと指摘されている。その代わりに推奨されているのが、COVID-19ワクチン接種、予防対策、治療法、奨励金を組み合わせた「ワクチンプラス」という手法だ。また、さまざまなコミュニティーで住民の信頼を高めるため、さまざまな分野(コミュニティーの指導者、科学の専門家、公衆衛生当局)が協働する必要があると提言されている。さらに、パンデミックを真に終息させるためには、パンデミックの不平等(ワクチンの偏在など)を解消することが必要な点も強調されている。
doi:10.1038/s41586-022-05398-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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