進化学:ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石が爬虫類の進化に関する新たな手掛かりに
Nature Communications
2022年11月30日
北米で見つかった後期ジュラ紀(約1億4500万年前)のトカゲの新種2種(Eoscincus ornatusとMicroteras borealis)の部分的に保存された頭蓋骨化石について記述されたChase Brownsteinたちの論文が、Nature Communicationsに掲載される。これら2種共、有鱗目冠群(トカゲの現生種を含む分類群)に属するとされ、有鱗目の分類群間の関係を解明する手掛かりが得られた。
有鱗目の進化初期の化石は、数が少ない上に、通常は保存状態もよくないため、押しつぶされていない最古の骨格材料は白亜紀(約1億4550万~6550万年前)のものとなっている。ジュラ紀(約2億~1億4550万年前)のヘビ、ヤモリやトカゲ科のトカゲらしき化石も報告されているが、保存状態にばらつきがあるため、それより後の時代の化石との関係での位置付けは明らかになっていない。概して言うと、こうした化石記録の状態のために有鱗目の放散と多様化が解明されておらず、有鱗目の地理的分布に関する十分な仮説が示されていない。
この論文では、北米で出土した後期ジュラ紀のトカゲの新種(2種)の化石が記述されている。新たに発見されたのは、部分的に保存されたE. ornatusの頭蓋骨とM. borealisの頭蓋骨の化石で、それらの解剖学的解析によって、トカゲ科のトカゲ、ヨロイトカゲ、ヨルトカゲ、メガネトカゲ、ウィップテール・リザード、カベカナヘビ、ミミズトカゲを含む分類群に属することが明らかになった。これらの化石には、それより後の時代の同じ分類群の種には見られない祖先形質があり、有鱗目の進化系統樹が、形状データに基づく場合と遺伝的データに基づく場合で異なることを浮き彫りにしている。恐竜類、哺乳類とカメ類の個体数が同時代に増加したことと今回の研究で得られた知見を合わせると、大西洋の拡大が陸生脊椎動物の生物地理学的性質と関連していたことが示唆される。
今回の研究は、爬虫類における形態の革新的変化の発現に関する現在の理解を裏付けるものであり、初期の有鱗目がトカゲの現生種に進化した過程を明らかにしている。
doi:10.1038/s41467-022-34217-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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