健康:青年期のlong COVIDに関連するリスク要因
Nature Communications
2022年11月30日
社会経済的地位が低いことと慢性の健康障害(特に喘息)を持つことが、青年期における新型コロナウイルス罹患後症候群(別名long COVID)のリスクが高いことに関連すると示唆した研究論文が、Nature Communicationsに掲載される。この知見は、スイスのジュネーブに居住する1000人以上の未成年者を対象とした研究によるもので、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染歴がある青年の約14%において、少なくとも1つの症状が12週間以上続いた。
小児と青年における新型コロナウイルス罹患後症候群の有病率は、十分に分かっていない。また、疲労感などの一般的な症状がSARS-CoV-2感染によるものか、他の原因によるものかを判断することも難しい。
今回、Idris Guessousたちは、1034人の未成年者を対象とした検査を実施して、過去にSARS-CoV-2に感染したことを示す証拠の有無を調べた上、対象者の親から情報を収集して、これらの未成年者が新型コロナウイルス罹患後症候群に適合する症状の継続を経験したことがないかどうかを調べた。その結果、青年(12~17歳)において、このような症状の継続を経験した者の占める割合が、過去にSARS-CoV-2に感染した証拠のある場合の方がない場合よりも約8%高いことが判明した。小児(生後6か月〜11歳)においては、症状の継続を経験した者の割合に感染歴による差は見られなかった。また、青年期における症状継続のリスクが高かったことが、社会経済的地位が低いこと(親に対するアンケートの結果に基づく)と慢性の健康障害を持つことに関連していた。
Guessousたちは、以上の知見は、若年者、特に青年を対象とした健康増進活動と集団健康診断を実施して、有効なプライマリーケアの管理を迅速に実施できるようにする必要があることを示していると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-022-34616-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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