考古学:銅器時代の子どもの欲しいものリストにフクロウの飾り板が入っていたかもしれない
Scientific Reports
2022年12月2日
イベリア半島で見つかった古い粘板岩の飾り板には、フクロウが彫り込まれていた。この飾り板は、約5000年前のものとされ、子どもたちが玩具として作った可能性があると示唆する論文が、Scientific Reportsに掲載される。この知見は、古代ヨーロッパ社会で子どもたちがどのように人工物を使用していたのかを解明する手掛かりとなる可能性がある。
イベリア半島各地の墓や穴から発見された約4000個の彫刻された粘板岩の飾り板は、今から5500年前から4750年前までの銅器時代のものとされ、フクロウに似ていた。2つの円が目として彫り込まれ、その下には胴体の輪郭が彫り込まれていたのだ。これらのフクロウの飾り板は、儀式的な意味を持ち、神や死者を表していたのではないかと推測されてきた。
今回、Juan Negroたちは、この解釈を再検討し、地域の子どもたちが周辺に生息するフクロウ種を手本として作ったのが、これらのフクロウの飾り板であり、人形、玩具、お守りとして使用された可能性があるという別の考え方を示している。今回の研究では、100例の飾り板の評価が行われ、フクロウの6つの特徴(2つの目、羽角、模様のある羽、平らな顔盤、くちばし、翼)のうち、いくつの特徴が表現されているかに基づいて0~6点での評価が実施された。そして、これらの飾り板は、4~13歳の子どもが描いた現代のフクロウの絵(100例)と比較され、フクロウの描写に多くの類似点があることが観察された。子どもが成長して熟練するにつれて、フクロウの絵は実際のフクロウに似てきた。
多くの飾り板の上部に2つの小さな穴が見つかった。これらの穴は、飾り板を吊るすためのひもを通す穴として実用的なものとは思われず、そのように使用された場合に予想される摩耗痕もなかった。Negroたちは、トラフズク(Asio otus)などの地域性のフクロウ種の頭部の羽角に似せるために羽毛を通すための穴だったのではないかと推測している。
Negroたちは、フクロウの飾り板の多くは、儀式で使用するために熟練した職人によって彫られたのではなく、子どもたちによって作られたものであり、子どもたちの彫刻技術が向上するにつれてフクロウにより近いものになったという見解を示している。これらの飾り板から、銅器時代の社会における子どもの行動を垣間見ることができるかもしれない。
doi:10.1038/s41598-022-23530-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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