天文学:南のリング星雲の形成を明らかにする
Nature Astronomy
2022年12月9日
「南のリング星雲」のリング形状や詳細なフィラメント構造の形成に、少なくとも4個の星が関係していることを報告する論文が、今週Nature Astronomyに掲載される。この発見は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で得られたデータの分析に基づいている。
惑星状星雲は、太陽と同程度の質量を持つ星が進化して、温度が下がり、外層の物質の層が剥がれて、これがゆっくりと外側に広がっていくことで形成される。星がさらに進化すると、超高温の白色矮星が形成され、この白色矮星は、形成初期の星から放出された物質を照らすようになる。南のリング星雲(NGC 3132)内部には、リング状構造の中心付近に、白色矮星と、可視光で光る伴星を確認できる。
Orsola De Marco たちは今回、南のリング星雲をより詳しく調べるため、JWSTの近赤外線カメラや中赤外線観測機器によって得られたデータを解析した。中心部の星と星雲のいくつかの観測された特性をモデル化することによって、2つの星がそれらのみでは星雲を形成できないことを見いだした。著者たちは、この星雲のまさに中心部を分析したところ、塵に富んだ円盤内部に少なくとも2つの星(白色矮星と1つの未知の星)が隠されており、それらが主に星雲を形成した証拠を発見した。JWSTによって初めて撮影された星雲の外側の円弧状の特徴は、内側の2個の星の近くを別の星が軌道運動することを示唆するが、この星も直接的には見ることはできない。
著者たちは、これらの結果は、南のリング星雲を形成した恒星系が少なくとも4個の星を含んでいたことを示すと考えている。著者たちは、さらなるJWSTのデータによって、惑星状星雲の形成を引き起こす宇宙物理学的な過程の一般的な理解がさらに深まるだろうと述べている。
doi:10.1038/s41550-022-01845-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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