健康:食品着色料の摂取と腸の炎症との関連可能性がマウスの研究で明らかに
Nature Communications
2022年12月21日
アルラレッドAC(一般的な食品着色料の1つ)の長期摂取は、マウスに軽度の腸の炎症を誘発する可能性があり、炎症性腸疾患の実験モデルの炎症に対する感受性を高める可能性もあることを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この研究知見は、食品添加物が健康に及ぼす長期的影響の可能性をさらに調べる必要性を強く示している。
多くの食品と飲料には、保存性、食感、色、外観を改善するための添加物が含まれている。これまでに、動物モデルを使った研究で、一部の食品添加物が腸の健康を阻害し、大腸炎(腸の炎症性疾患の一種)を引き起こすことが明らかになっている。アルラレッドACは、赤色の合成食品着色料で、一部の朝食用シリアル、飲料、菓子に使用されている。
今回、Waliul Khanたちは、一部のヒトの食品における含有率と同程度のアルラレッドACを添加した食餌をマウスに与えて観察する実験を行い、この食餌を長期間(14週間)摂取したマウスのうちの数匹が軽度の腸の炎症を起こしたことを明らかにした。また、炎症性腸疾患の実験的マウスモデルがアルラレッドACを含む食餌を長期間(12週間)摂取すると大腸炎を発症する確率が高くなることもわかった。この食餌には、長期間にわたり毎日一定量のアルラレッドACが含まれていたが、これはアルラレッドACを含む食品や飲料を時々摂取するヒトの典型的な状況に相当するとは考えられないとKhanたちは指摘している。重要な点は、アルラレッドACを含む食餌を12週間断続的に摂取したマウスが腸の炎症や大腸炎を発症しなかったことだ。Khanたちは、アルラレッドACを摂取すると、セロトニン(大腸内の化学伝達物質の一種)の濃度が上昇し、これが腸の炎症につながっているという考えを示している。
Khanたちは、他の食品着色料が腸の炎症に及ぼす影響や同様の効果がヒトにも見られるかどうかに関しては、さらなる研究が必要だという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-022-35309-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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