天体物理学:星が衝突する時に発する信号を見つけ出す
Nature
2023年1月10日
2つの中性子星の合体による大質量中性子星の形成によって発生したと考えられる継続時間の短いガンマ線バースト(2例)からの信号が振動していたことを報告する論文が、今週、Natureに掲載される。振動する信号が検出されたことは、これらの天文現象の特徴を研究する好機となるかもしれない。
中性子星(終末期の大質量星の高密度コア)の衝突によって短命な大質量中性子星が誕生し、それから間もなく重力崩壊してブラックホールになることがあるが、全てが崩壊するわけではないかもしれない。数値シミュレーションでは、このような超大質量中性子星は、中性子星同士の衝突によって生じるガンマ線バーストからの信号に振動を生じさせる可能性があることが示されている。今回、Cecilia Chirentiたちは、振動する信号を見つけ出すためにガンマ線観測(合計700例以上)のアーカイブデータを徹底的に調べた。
その結果、継続時間の短いガンマ線バースト(GRB 910711とGRB 931101B)からの信号が、振動期を有する信号と考えられることが明らかになった。この振動は、完全に周期的なものではなく、その周波数は、中性子星の合体の数値シミュレーションによる予測と一致している。Chirentiたちは、この検出結果は、合体する中性子星を研究するための新たな強力な手段となる可能性があると結論付けている。それは、中性子星の合体に伴う重力波の検出を必要としない研究となる。
doi:10.1038/s41586-022-05497-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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