動物:2匹のネコのじゃれ合いと本気の喧嘩を見分ける
Scientific Reports
2023年1月27日
2匹のネコの相互作用においてネコが見せる行動に基づいて、ネコの相互作用を「じゃれ合い」「闘争的」「中間的」の3つのグループに分類できることを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。この分類法は、飼い主がネコのじゃれ合いと本気の喧嘩を見分けるために役立つ可能性があるとされる。今回の研究では、2匹のネコが、じゃれ合いと攻撃が混ざり合った行動をとる場合があり、その時に飼い主が上手に管理できないと喧嘩に発展するかもしれないことが示唆された。
今回、Noema Gajdoš-Kmecováたちは、2匹のネコの相互作用を記録したYouTubeのビデオクリップとネコの飼い主から直接入手したビデオクリップ(合計105本)を評価した。著者たちは、最初に一部のビデオクリップを視聴して、映像中のネコの行動を観察した結果に基づいて、顕在的な行動のカテゴリー(取っ組み合い、追い掛けっこ、音声を発することなど6種類)をまとめ、それを使って、映像中のネコを評価した。ネコは、これら6種類の行動の頻度と継続時間に基づいてグループ分けされた。これとは別に、著者のうちの4人(ネコの行動の専門家)が、同じ一連のビデオクリップを再視聴して、ネコ同士の相互作用を「じゃれ合い」(友好的な相互作用)、「アゴニスティック(闘争的)」(攻撃的な相互作用)と第3のカテゴリーとしての「中間的」(じゃれ合いと攻撃的行動の両方が混在している相互作用)の3つのグループに分類した。
ここで、相互作用が「じゃれ合い」とされたネコが半数以上(56.2%、118匹)で、闘争的とされたネコが28.6%(60匹)、中間的とされたネコが15.2%(32匹)だった。
そして、著者たちが定義したネコの6つの行動カテゴリーに基づいて分類されたグループと上述の3つの相互作用のグループの比較が行われて、ネコの取っ組み合い行動が、「じゃれ合い」グループと最も密接に関連し、音声を発することと追い掛けっこが「闘争的」グループと関連していることが判明した。「中間的」グループには、「じゃれ合い」グループと「闘争的」グループの両方の特徴が観察されたが、「闘争的」グループよりも「じゃれ合い」グループと密接に関連していた。「中間的」グループのネコは、仰向けに寝転がる、飛び掛かる、つきまとう、近づいて互いにグルーミング(毛づくろいをする)などの行動を互いに示し、それが長く続いた。
著者たちは、じゃれ合い行動と攻撃的行動が混在している状態は、ネコ個体間の関係の崩壊ではなく、ネコ同士の社会的行動の短期的な不一致を反映していると考えられるとし、個体間に緊張関係が生じている可能性のある状態を明らかにできれば、飼い主が個体間の関係を管理して、喧嘩に発展したり、隔離せざるを得なくなったりする事態を回避するために役立つ可能性があるという見解を示している。
doi:10.1038/s41598-022-26121-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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