Research Press Release
【海洋科学】ヌタウナギの捕食本能
Scientific Reports
2011年10月28日
獲物の死体を食べるのではなく、生きた獲物を狩るヌタウナギが初めて観察された。その様子は映像に記録されており、この映像について記述した論文がScientific Reportsに掲載される。
ヌタウナギ(ヌタウナギ科)は、顎のない海洋性の初期脊椎動物の一種で、脅威を感じたときには、鰓を詰まらせる作用のある粘液を大量に産生する能力を持つことで知られている。ヌタウナギは、日和見的な腐肉食によって餌を得ると考えられているが、深海での生息数が多いことと胃の内容物の分析から、ヌタウナギが腐肉食だけで生き延びている可能性は低いことが示唆されていた。
今回V Zintzenたちは、餌を付けたビデオカメラによって得られた画像を分析し、ヌタウナギが活発で優れた狩猟動物となる場合があることを報告している。ヌタウナギの粘液には複数の機能があると考えられ、自らを捕食する可能性のある鰓呼吸動物に対する抑止力だけでなく、他の腐肉食者を排除して食料獲得競争を減らし、さらには、獲物を窒息させて、その自由を奪う捕食道具としての可能性もある。Zintzenたちは、この独特な機能形質の組み合わせが、より高度に発達した有顎魚類やその他の脊椎動物の進化に応じて発達し、このことが、過去3億年間にわたるヌタウナギ科動物の存続に寄与した、と推測している。
doi:10.1038/srep00131
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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