地質学:カルデラを形成する噴火を水中でシミュレーションする
Nature Geoscience
2023年4月11日
火山の大規模な爆発的噴火をシミュレーションする方法について報告する論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この発見は、このような噴火により生成された灰とガスの噴煙は周期的に崩壊し、灰堆積を起こし災害をもたらす波を生成する可能性を示している。水面下に保存されたこの波の堆積物は、このような噴火に対する理解を改善することができる。
最大規模の爆発的火山噴火は、広範で深い沈降、すなわちカルデラを形成し、災害をもたらす降灰、火山灰と火山岩流および津波などを生成する。しかしながら、このような噴火がもたらし得る災害のふるまいについてはよく分かっていない。最近、ほとんどが海面下にある西太平洋の火山であるフンガ・トンガ―フンガ・ハアパイで起きた爆発的噴火は、直径約4キロメートルのカルデラを形成した。そのような噴火で形成された海底火山の特徴の1つは、海底に規則正しい間隔で形成された同心円の段丘である。このような段丘は、約3600年前にこの種の噴火が起きたギリシャのサントリーニ火山のカルデラで見ることができる。
Johan Gilchristらは、細かい粒子と粗い粒子を含んだ水をさまざまな深さの水タンクの底に注入し、結果として起きる噴出と粒子の堆積を分析することで、カルデラを形成する破壊的な噴煙をシミュレーションした。今回の実験によって、噴出は周期的に崩壊して、物質を水面と底へ「堆積波」として輸送し、その頻度は注入速度と噴出混合物の浮力に依存することが明らかになった。著者らは、自然ではこのような堆積波は災害をもたらす火山灰流を生成し、もし海底であれば、津波や海底の段丘への堆積を生成すると提案している。著者らはまた、サントリーニ火山を含む海底カルデラの段丘堆積物を調べ、実験から得られた知見を用いて、水深と噴火の強度は、段丘の構造と間隔から見積もることができることを示している。
著者らは、今回の知見は、地球表面と海底の両方で起きる大規模な爆発的噴火に適用可能であり、過去の噴火の理解を改善し、それによって将来の噴火が起こす可能性のある災害の理解を深めることができると示唆している。
doi:10.1038/s41561-023-01160-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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