天文学:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が見つけた星のゆりかごにある惑星の材料
Nature Astronomy
2023年4月25日
銀河系に隣接する矮小銀河である小マゼラン星雲(SMC)にある数百個の若い星の周辺に、惑星を形成する成分が検出されたことを報告する論文が、Nature Astronomyに掲載される。この発見は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)から得られたデータに基づいており、銀河系よりもそのような物質に乏しい銀河で惑星が効率的に形成される可能性があるかどうかについての我々の理解の助けになる。
惑星は、砂や煤のような、塵の微小粒子から始まる。その後、塵の粒子は凝集して小石となり、小石は集塊状になって岩石質の微惑星となり、微惑星が穏やかに衝突して、惑星のコアが形成される。しかし、塵を形成する原料の物質であるケイ素、マグネシウム、アルミニウム、鉄などの元素は、SMC内に比較的少ない供給量である。
Olivia Jonesらは今回、温かい塵から放射される熱放射を検出できるJWSTの赤外線撮像を用いて、NGC 346と名付けられたSMCの星形成領域にある数百個の若い低質量星(太陽よりも若く、質量が小さい星)を観測した。著者らは若い星の近くを軌道運動する塵の兆候を検出しており、これは若い星が成熟するにつれて惑星が形成される可能性があることを示唆している。
著者らは、SMCで岩石を形成する元素の存在度が、赤方偏移およそ2にある遠く離れた銀河の元素存在度と同程度であることを示している。この時代は天文学者が「宇宙の正午」と呼ぶ、宇宙史でおよそ110億〜120億年前に相当する。SMCで惑星形成が起こる可能性があることから、著者らはこの時代およびそれ以降に惑星が形成された可能性があると推測している。
doi:10.1038/s41550-023-01945-7
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