生態学:アフリカ大陸の高木被覆地図
Nature Communications
2023年5月3日
個々の樹冠のレベルまで示された高木被覆地図がアフリカ大陸全体について作成されたことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。今回の知見は、アフリカ大陸の高木被覆地の約30%が森林以外であり、この比率が、これまでに発表された予測をかなり上回っていることを示しており、土地管理、森林再生と自然を活用した気候変動対策(NCS)の参考になる可能性があることを示唆している。著者らは、この論文に示された高木被覆地図の作製方法が、正確で一貫性のある全球スケールの高木モニタリングに道を開き、木質資源のモニタリング能力を高められるかもしれないという見解を示している。
森林とその他の高木を基盤とする生態系は、気候変動緩和戦略の中核をなしており、質の高いモニタリングシステムによる直接的な支援を必要とする。森林以外の高木被覆の定量化は、人工衛星データの取得と処理の点で制約があることや、地上でのモニタリング方法が国によって異なっていたり、国ごとのモニタリングデータに食い違いがあったりといったことが原因となり、困難だった。リモートセンシングと機械学習の進歩により、例えば西アフリカのような広大な地理的領域で個別の樹冠をマッピングできるようになったが、大陸レベルでの高分解能測定は行われていなかった。
今回、Florian Reinerらは、高分解能の人工衛星画像(分解能3メートル)とディープラーニングモデルを用いて、アフリカ大陸全体の高木被覆地図を作製した。この高木被覆には、個々の樹冠(木本植生の枝や葉など)や独立樹まで含まれていた。その結果、アフリカの高木被覆地の29%は、森林以外に分類される土地(農地や草地など)であることが分かった。また、一部の国々(リビア、ニジェール、マリ、スーダンなど)では、高木被覆地の50%以上が森林以外の土地だった。この結果は、アフリカ大陸の雨量の少ない地域に驚くほど多くの高木が生育していることを示しており、これまで西アフリカに限られていた観測結果が大きく広がった。
今回の研究は、アフリカの高木被覆に関して、以前の測定値と比較して、よりロバストで網羅的な評価をもたらしており、バイオマスのモニタリング、持続可能な土地管理、保全と景観生態学にとって重要な意味を持つ可能性がある。
シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 15(陸の豊かさを守ろう、Life On Land)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。
(https://press.springernature.com/sdgs/24645444)
doi:10.1038/s41467-023-37880-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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