Research Press Release

天文学:木星の稲妻と地球の稲妻の類似点

Nature Communications

2023年5月24日

木星における稲妻の開始プロセスのリズムが、地球の雲の内部で発生する稲妻の場合に類似していることが判明した。このことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。今回の知見から、巨大ガス惑星である木星と岩石惑星である地球では、大きさと構造が著しく異なっているにもかかわらず、雷のプロセスの一部が類似している可能性が示唆された。

木星で稲妻が発生することは知られているが、これまでの測定結果の時間分解能に制約があったため、稲妻の発生プロセスの詳細についての我々の知識は限られていた。木星の稲妻と地球の稲妻を比較すれば、稲妻に関係するプロセスへの理解が向上する可能性があるが、データが限られていたために難しかった。木星における稲妻の開始プロセスが、地球における雷と似た段階を経ているのかは分かっていない。

今回、Ivana Kolmašováらは、木星の極軌道上を周回するNASAの探査機「ジュノー」の無線受信機によって収集された約5年分の高解像度データを解析した。その結果、木星からの電波パルスが約1ミリ秒の時間間隔で発生していることが判明した。これは、地球上での雷の観測結果と類似した、稲妻の開始プロセスに見られる段階的特徴を示唆している。今回の研究結果は、木星における稲妻の開始プロセスが、地球の大気中の雲の内部で発生する稲妻の場合に類似している可能性を示している。

doi:10.1038/s41467-023-38351-6

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度