Research Press Release

航空機に搭載された物質波加速度センサー

Nature Communications

2011年9月21日

このほど、フランスの研究チームが、航空機の機内に設置された物質波センサーを1Gと0Gの重力条件下で動作させることに初めて成功した。この研究成果により、実験室環境以外の環境での物質波センサーの能力が実証され、基礎物理学のさまざまな検証に道が開かれた。

物質波センサーは、絶対零度にごく近いところまで冷却した原子の雲を用いる。この温度レベルでは、物質の波動性が重要な意味をもつ。すなわち、原子の波動がレーザーと相互作用して干渉縞を作り、それによってデバイスの加速度を測定できるのだ。今回、P Bouyerたちは、0Gで飛行できる航空機の機内に、このセンサーを設置した。そして、このセンサーは、通常の1Gでの飛行条件下で、航空機の典型的な加速度変動の300分の1に相当する影響を測定できた。

航空機搭載用の物質波センサーは、慣性航法装置や機体の動きを監視する装置の改良に役立ち、地球物理学的重力調査の精度を高める可能性がある。また、0Gで動作するため、一般相対性理論のさまざまな側面の検証や重力波の検出も実現できるかもしれない。

doi:10.1038/ncomms1479

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度