健康:運動が、食餌療法の血糖コントロール改善効果を高める
Nature Metabolism
2023年6月27日
食餌による減量治療と運動を組み合わせると、肥満や前糖尿病状態の患者のインスリン感受性や血糖コントロールが、食餌療法だけの場合に比べて大幅に改善することが、臨床試験によって明らかになった。このことを報告する論文が、Nature Metabolismに掲載される。
インスリン抵抗性の糖代謝には、一般に肥満との関連が見られる。これまでに行われた研究によって、食餌と運動を組み合わせると、肥満患者での治療効果が改善し、減量幅が大きくなり、心血管代謝の健康が改善することが分かっている。しかし、この組み合わせがインスリン感受性にも有効かどうかは不明だった。
Samuel Kleinらは、肥満と前糖尿病状態の患者のインスリン感受性改善に、食餌療法単独での減量の場合に比べて、食餌療法と運動を併用すると相加効果があることを証拠を示して裏付けた。この研究は、16人の被験者全員の体重が18~21週間かけて10%減少するよう設計されているので、インスリン感受性の違いは運動介入に特異的であり、体重減少の違いにはよらない。第1の被験者グループ(男性4人、女性4人)は、食餌療法(食物について個別に講義を受け、植物性食品中心で脂肪、塩分、精製炭水化物が少なく複合炭水化物の多い調理された食餌を摂取)だけを受けた。第2のグループ(男性2人、女性6人)では、食餌療法に組み合わせて1時間の運動(有酸素運動、高強度インターバルトレーニング、筋力トレーニングを取り混ぜたプログラム)を1週間に6回行った。データから、どちらのグループでも10%の体重減少によってインスリン感受性が改善することが実証されたが、食餌療法と運動を両方行って減量した方が、インスリン感受性改善の程度が2~4倍(測定方法によって異なる)大きいことが分かった。
Kleinらは、これらの知見によって、肥満治療の際に運動について考慮する重要性が明確になったと述べている。
doi:10.1038/s42255-023-00829-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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