健康:食餌のタイミングの制限によって、マウスの運動持久力が向上する
Nature Metabolism
2023年6月27日
マウスの食餌を安静時に制限することによって、運動に対する持久力を向上させられるとの観察結果が得られた。このことを報告する論文が、Nature Metabolismに掲載される。この知見から、運動能力を改善するためには、栄養成分を考慮するだけでなく、食餌を取るタイミングも重要なことが示唆される。
食物の摂取を1日の特定の時間帯に制限するという食餌療法が、比較臨床試験での減量戦略として関心を集めている。一部の人にとっては、カロリー摂取を制限する食餌療法よりも着実に実行できると感じられるからである。また、最近得られた証拠から、心血管代謝を改善するには運動するタイミングも重要なことが示唆されている。
Min-Dian Li、Catherine Wong、Zhihui Zhangらは、訓練されていない雌雄のマウスを3週間、日中に制限を設けて食物摂取させ(日中の安静時に限って食物を得られるようにした)、運動能力を測定した。日中に制限して摂食させた場合には、夜間に食物摂取できたマウスや24時間いつでも食物摂取できたマウスと比較すると、トレッドミルでの走行時間と走行距離がほぼ2倍に増加した。この運動能力改善は、骨格筋での脂質代謝の変化によって起こり、概日時計に依存しているらしいことが分かった。
著者らは、これらは夜行性動物である齧歯類での知見であり、ヒトの身体的活動能力改善を図る食餌療法としての摂食のタイミングについて解明するには、さらに研究が必要だと述べている。
doi:10.1038/s42255-023-00826-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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