工学:動物から着想を得た変形ロボット
Nature Communications
2023年6月28日
付属肢を車輪、プロペラ、脚、手などに変形させながら陸上のさまざまな地形や空中を移動するように設計されたロボット「Morphobot(M4)」を記述した論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。M4は、鳥類、ミーアキャット、アザラシなどの動物から着想を得て作製されたものであり、飛行、回転移動、はい歩き、姿勢を低くすること、直立してバランスをとること、タンブリング(ロボット本体の姿勢を変えながら障害物を乗り越える動き)など多彩な運動様式を実行して、環境中を移動することができる。この知見は、多様な環境中を移動するロボット(例えば、自然災害現場での捜索救助対応、宇宙探査、自動宅配などに使用されるロボット)の設計改善に役立つかもしれない。
一部の動物は、さまざまな地形に対処するため、四肢の使い方を適応させることができる。例えば、アシカはひれ足を使って陸上で歩き、ミーアキャットは後肢で立ち上がって周囲を偵察し、イワシャコという鳥は翼を使って四つんばいの姿勢になって急斜面を登ることができる。このように動物が四肢を転用する能力を模倣することで、運動戦略の適応によって複雑な地形を移動できる多機能の四肢が組み込まれた移動ロボットを設計することが可能になる。
今回、Alireza Ramezaniらは、動物から着想を得てM4を設計した。M4は、4本の脚を持ち、それぞれの脚には2つの関節があり、脚の端部にはダクテッドファンが取り付けられている。このロボットの総重量は約6キログラムで、全長70センチメートル、高さと幅はそれぞれ35センチメートルだ。このダクテッドファンは機能を切り替えることができ、脚、プロペラ式推進器、車輪として機能させることができる。M4は、起伏の多い地形を移動したり、急傾斜地を横切ったり、大きな障害物を乗り越えたり、高所に飛び上がったり、高さ制限のある経路を低い姿勢で移動したりするために、動作を適応させることができる。
今回の知見は、さまざまな通行困難な地形を移動するための多目的付属肢を有するロボットを設計することの利点を実証している。
doi:10.1038/s41467-023-39018-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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