天文学:オーロラの発生機構は太陽系を通じて普遍的なものかもしれない
Nature Communications
2023年7月19日
惑星の磁気圏でのオーロラの発生機構が、太陽系全体に共通したものである可能性を指摘した論文が、Nature Communicationsに掲載される。この論文には、「ベピコロンボ」ミッションによる初めての水星のフライバイ(接近通過)によって得られたデータが報告されており、水星の磁気圏の南半球側で発生するオーロラが地球や火星で見られるものと類似していることが明らかになった。
水星の磁気圏(水星の磁場に支配される水星の周辺領域)は、太陽風との磁気再結合が起こると、急速に再構成されて、地球、木星、土星、天王星の周辺で観測されている過程に類似した過程が起こることが知られている。しかし、この再構成サイクルに関する我々の知識は、探査機による水星の磁気圏の北半球側の観測によって検出された粒子のタイプとエネルギー範囲に限られていた。
今回、天体物理学・惑星学研究所(IRAP、フランス)および宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)の相澤紗絵(あいざわ・さえ)らは、2021年10月のベピコロンボミッションによる初めての水星のフライバイで実施された低エネルギー電子(30キロ電子ボルト未満)と低エネルギーイオンの同時観測の結果を分析した。その結果、水星の磁気圏の尾部に近い領域で高エネルギーの電子が加速され、昼側に向かって急速にドリフトし、その後、水星の夜側の閉じた磁力線に注入されることを示す直接的な証拠が得られた。この過程は、X線オーロラとして観測される。
相澤らは、惑星磁気圏の構造と動態は惑星によって違いがあるが、電子の注入とその後のエネルギー依存性ドリフトは、太陽系を通じて観測される普遍的な機構だと考えている。
doi:10.1038/s41467-023-39565-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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