太陽より温度の高い褐色矮星の観測
Nature Astronomy
2023年8月15日
ある白色矮星の周囲を軌道運動する、ある褐色矮星の表面温度が、およそ8000 ケルビン(K)であり、これは太陽よりも2000 K以上高く、さらに昼側と夜側の温度差はおよそ6000 Kであると推測されることを報告する論文が、Nature Astronomyに掲載される。この褐色矮星は、既知の褐色矮星の中で最も質量が大きい可能性があり、これらの観測結果から連星系や惑星大気に関する理解を得られる可能性がある。
白色矮星は、太陽のような低・中質量星の最終的な進化段階である。WD 0032-317は高温で低質量の白色矮星で、2000年代初期に観測され、二重白色矮星連星系の一方であるだろうと考えられていた。褐色矮星は、その質量が星と巨大ガス惑星の間にある天体である。褐色矮星は巨大惑星に比べて直接的な観測が容易であるが、似たような大気を持つことから、巨大ガス惑星の類似天体となる。
Na’ama Hallakounらは、2019年と2020年に得られたヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡の紫外線および可視光のエシェル分光器による追観測を解析し、白色矮星ではなく、褐色矮星(WD 0032-317 B)がWD 0032-317を軌道運動していると考えられることを明らかにした。これらの解析結果は、褐色矮星が木星の75~88倍の質量で、およそ100万年前まで白色矮星と共通なガスの外層に包まれていた可能性があることを示している。WD 0032-317の表面温度は、およそ3万7000 Kと非常に高く、この新たに特定された褐色矮星は白色矮星の非常に近い所を軌道運動しており、このため強力な紫外線放射を受け、太陽より2000 K以上も高い温度となる。WD 0032-317 Bは白色矮星に対して常に同じ側を向けている。これは、褐色矮星が昼側と夜側の間でおよそ6000 Kの温度差となっていることを意味する。
doi:10.1038/s41550-023-02048-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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