生態学:ホグフィッシュが皮膚色の変化を感知する機構
Nature Communications
2023年8月23日
ホグフィッシュ(Lachnolaimus maximus)が体色の急速な変化を感知し、監視する機構に関する新たな知見を報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この知見は、ホグフィッシュの行動と進化だけでなく、特定の動物種が皮膚色を素早く適応させる仕組みに関する我々の理解を深める。
体色を素早く変える能力は、イカ、両生類、爬虫類、魚類など、いくつかの異なる動物種で複数回にわたって進化してきた。この特性は、例えば、環境温度の変化に適応したり、交尾相手を引き寄せたり、隠蔽擬態をしたりするために役立つ。これらの動物は、色素胞(色素、結晶、反射小板などを含む細胞)を使って、数分以内に急速に体色を変えることができる。ホグフィッシュは、隠蔽擬態や社会的シグナル伝達のために、色素胞内で色素を移動させて、色素胞の下にある白色の組織を露出させたり、被覆したりして、皮膚色を変えることができる。しかし、ホグフィッシュが、この皮膚色の変化を調節し、知覚する仕組みはよく分かっていない。
今回、Lorian Schweikertらは、顕微鏡を使って、ホグフィッシュのさまざまな部位に対する光の影響を測定して、ホグフィッシュの皮膚を詳細に調べた。その結果、色素胞の下にSWS1という光受容体があり、このSWS1が、色素胞によって表現される色の入射光、特に、ホグフィッシュの生息地であるサンゴ礁に存在する光の波長に敏感であることが分かった。SWS1は、皮膚色の変化が、皮膚のどの部分でどのように起こっているかをホグフィッシュにフィードバックしていた。
Schweikertらは、この機構(またはこの機構のバリエーション)が、体色を変化させる他の動物(例えば、クモヒトデ)にも存在する可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-023-40166-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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