Research Press Release

住血吸虫症の新たな治療標的候補

Nature Communications

2011年8月10日

住血吸虫症は、世界で最も多く見られる寄生虫疾患の1つだが、このほど、その原因であるマンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni、寄生性扁形動物の一種)におけるDNAの修飾が同定された。この知見は、住血吸虫症を引き起こす病原体を防除する際の標的を明らかにするために利用できる可能性がある。研究の詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 住血吸虫症は、身体的な衰弱や消耗を伴う慢性疾患で、住血吸虫を原因とする。今回、K Hoffmannたちは、マンソン住血吸虫のゲノムDNAがメチル化していることを初めて明らかにし、このDNA修飾を媒介する可能性が高い複数のタンパク質を同定した。また、Hoffmannたちが、米国食品医薬品局に認可された化学療法薬5-アザシチジンを用いて、これらのタンパク質を化学的に阻害したところ、DNAメチル化が減少し、雌の住血吸虫の産卵が減り、産卵された卵には形態異常が発生した。 以上の知見は、住血吸虫の防除において、そのDNAをメチル化するタンパク質を標的とする方法が有用となる可能性を示唆している。

doi:10.1038/ncomms1433

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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