地球科学:アーガイルのピンクダイヤモンドは古代の超大陸の分裂に関連していた
Nature Communications
2023年9月20日
アーガイル(オーストラリア西オーストラリア州)に世界最大級の天然ダイヤモンドの鉱床と世界最大のカラーダイヤモンドの鉱床が形成されたことに、約13億年前の超大陸の分裂が関連していた可能性のあることを示した論文が、Nature Communicationsに掲載される。この知見は、大陸の接合部がピンクダイヤモンドを発見する重要なポイントであり、他のダイヤモンド鉱床の探査にも役立つ可能性があることを示唆している。
アーガイルのダイヤモンド鉱山は、2020年に閉鎖されるまでの間、これまでに発見されているピンクダイヤモンドの90%以上を生産していた。ダイヤモンドの鉱床と鉱山の大部分は、地下深部に由来する火山岩から見つかっている。この火山岩は、今から25億年以上前の古代大陸の中央部で、ダイヤモンドを地球の深部から地表へと急速に輸送する役割を果たした。アーガイルのダイヤモンド鉱床は、通常と異なり、若い火山岩から見つかっており、この火山岩は、2つの古代大陸の接合部(ホールズクリーク造山帯)に存在していた。このことは、ピンクダイヤモンドの生成に重要な意味を持つ。レッドダイヤモンドやブラウンダイヤモンド、ピンクダイヤモンドは、大陸の衝突によって生じる巨大な圧力によって結晶格子がねじれたり、曲がったりすることで、それぞれの色調が生じるためだ。これがアーガイルで起こったのが今から18億年以上前で、オーストラリア西部とオーストラリア北部の安定陸塊が衝突し、深さ数百キロメートルの地中にあった無色のダイヤモンドがピンク色に変化した。しかし、これらのダイヤモンドが地表に出現した原因は分かっていない。
今回、Hugo Olierookらは、アーガイルのダイヤモンド鉱床から採掘された鉱物を分析して、この鉱床が地表に出現した時期が、これまで考えられていたよりも早く、ヌーナ超大陸の分裂と同時期だったことを明らかにした。Olierookらは、かつての安定陸塊の衝突によって閉じていた接合部がヌーナ大陸の分裂によって再び開いた可能性があるという見解を示している。ダイヤモンドを含んだメルトが、この大陸の接合部を通って輸送され、大規模なタイヤモンド鉱床の形成につながった可能性がある。
Olierookらは、超大陸が分裂する時にダイヤモンドが生成するという現象は頻繁に起こっていたと考えられるが、古代大陸塊の端部の地溝帯でも起こっていたことはあまり認識されていないと述べている。今回の知見は、アーガイルのダイヤモンド鉱床の形成機構と地球の深部で起こっている各種過程についての理解を深める。
doi:10.1038/s41467-023-40904-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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