動物:顔の平たいイヌを見ると世話が必要な「赤ん坊」のように思えるのかもしれない
Scientific Reports
2023年9月22日
頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが極端に短い犬種(短頭種)、例えばイングリッシュブルドッグやフレンチブルドッグは、鼻の長い犬種と比べて、餌探し課題を行う際に人間を見る回数が多く、「頼りなく見える」という形質を示す傾向があるという結果が、小規模な研究によって得られた。この研究を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。短頭種のイヌは、健康上の問題が指摘されているにもかかわらず、ペットとしての人気が続いている。著者らは、その一因として、短頭種のイヌが人間と頻繁に触れ合ったり、課題になかなか成功しなかったりするために、赤ん坊のような存在と思われている可能性があることを挙げている。
今回、Dorottya Ujfalussyらは、15頭のイングリッシュブルドッグ、15頭のフレンチブルドッグ、13頭のハンガリアンムーディ(中頭種の牧畜犬)を対象に、3つの箱を開けて中身の餌を取り出すという課題をさせて、イングリッシュブルドッグとフレンチブルドッグの行動をハンガリアンムーディの行動と比較して評価した。箱の開け方は、箱によって異なっており、難易度も異なっていた(Aの箱の開け方が最も難しかった)。3つの箱は、ランダムな順序でイヌに提示された。全てのイヌに実験者がウィンナーソーセージの小片を箱に入れるところを見せてから、2分間で箱を開けさせた。このとき、実験者とイヌの飼い主はイヌの後ろに立ち、イヌから直接見えないようにした。
イングリッシュブルドッグとフレンチブルドッグが箱を開けることに成功した回数は、ムーディよりも93%少なかった。また、箱を開けることに成功したムーディは、ブルドッグよりも短い時間で箱を開けていた。ムーディの約90%は、1分経過後の時点で箱を開けていたが、ブルドッグの場合は約50%だった。これに対して、課題を行っているときに振り返って人間を見た回数は、イングリッシュブルドッグもフレンチブルドッグもムーディより多く、それぞれ4.16倍と4.49倍だった。
Ujfalussyらは、以上の知見は、短頭種のイヌが問題に直面したときに人間の助けを求める傾向があることを示しており、このことで、飼い主が短頭種のイヌの頼りなさを感じ取って、飼い主とイヌの社会的関係が強化される可能性があるという考えを示している。しかし、今回の研究では、短頭種のイヌが他の犬種より人間に依存しているように見える遺伝的素因を有しているかどうかや、短頭種のイヌに対する飼い主の態度が依存行動を助長しているかどうかを確かめることはできなかった。
doi:10.1038/s41598-023-41229-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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