老化:65歳以上の高齢者では、趣味を持つことがより良い精神健康状態に結び付く
Nature Medicine
2023年9月12日
趣味の活動に参加している65歳以上の人たちは、趣味を持たない人たちに比べて健康状態や精神状態が良いという研究結果が報告された。この知見は、16カ国の9万3263人の趣味との関わりについて調べた5つの長期的研究のメタ解析によって得られたものである。
趣味とは、人が暇な時間に楽しみのために行う活動であって、こういった活動が孤独感を軽減し抑うつ状態の防止につながることが、これまでの研究で明らかにされている。しかし、そのような知見のほとんどは1つの国での解析に基づいており、国や文化的な条件が異なっても結論が同じかどうかは分かっていない。
D Fancourtらは、趣味との関わり方について調べた5つの長期的研究のメタ解析を行った。この解析は参加者を65歳以上とした研究に限って行われ、米国、中国、日本と欧州の数カ国を含む16カ国の9万3263人について回答が調べられた。参加者の平均年齢は71.7歳から75.9歳の間である。65歳以上の場合、趣味の活動に関わっている人は、趣味を持たない人に比べて自己申告による健康状態が良好で、生活の満足度が高く、幸福感が強く、抑うつ症状が少ないことが分かった。これらの結果の一貫性は、パートナーシップの状況、雇用、世帯収入といった他の要因を補正しても失われなかった。デンマーク、スウェーデン、スイスといった世界幸福度指数が高く、平均余命の長い国は趣味を持つ率が高かった。全体としては、趣味を持つことと精神の健康状態との関連はさまざまな国で比較的共通していると、Fancourtらは述べている。
Fancourtらは、これらは観察に基づいた知見であり、因果関係を明確にしたものではないと強調した上で、年齢や国を問わず高齢者が健康で年齢を重ね、精神的にも健康でいられるように趣味との関わり方を改善する方法を開発する上で、これらの知見が意味を持つだろうと述べている。
doi:10.1038/s41591-023-02506-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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