【進化】クモの全天候型「スーパー接着剤」の進化
Scientific Reports
2011年7月22日
コガネグモ科のクモとその進化上の子孫であるヒメグモ科のクモが獲物を捕えるために分泌する「接着剤」が、湿度に対して異なった応答を示し、その原因が、接着剤に含まれる「粘着付与剤」の違いにあることがわかった。この知見は、特定の刺激に対して耐性または感受性を示すスマート材料を作り出すための将来的な研究に役立つかもしれない。この研究結果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
コガネグモ科とヒメグモ科のクモは、接着剤の塗られた接着性のクモ糸を用いて獲物を捕えるが、この2種のクモの進化的に相同な腺で産生される接着剤には大きな違いがある。コガネグモ科のクモが産生する粘着性の接着剤は、飛翔性昆虫の捕獲に適応しており、湿度感受性があるため、その接着性は中程度の湿度で最大化する。一方、ヒメグモ科のクモが産生するgumfoot接着剤は、歩行性昆虫の捕獲に適応しており、一般に湿度耐性があり、極端な湿度でも粘性を保持する。
今回の研究で、A Dhinojwalaたちは、2系統のクモが産生する接着剤の液滴を調べた。この2種類のバイオ接着剤には、高度の進化的相同性があるが、特に水との相互作用の点で著しく異なっていた。ヒメグモ科のクモは、短いペプチドと接着性ポリマー(おそらく糖タンパク質)の混ざり合ったものを使うので、その接着剤は、湿度の変動に耐性を有している。一方、コガネグモ科のクモの粘着性接着剤には吸湿性の塩が含まれているため、水に高い反応性を示し、その粘着性は、中程度の湿度で最も高くなる。
doi:10.1038/srep00041
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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